グリーンパワーキッズ 未来のエネルギー戦略発表会 2017年2月19日@日本科学未来館

グリーンパワーキッズ 未来のエネルギー戦略発表会 2017年2月19日@日本科学未来館

2015年度から始まったグリーンパワーキッズクラブの活動。2年目を迎えた今年は、活動地域を広げ、再生可能エネルギーを学ぶ連続ワークショップを沖縄・徳島・兵庫・東京の4都県の科学館、研究施設を舞台に実施しました。そして、およそ3ヶ月間、エネルギーの勉強を頑張ってきた総勢43名の子どもたちが、未来のエネルギー戦略と熱い想いを、経済産業省 資源エネルギー庁の担当者の前で発表するために、日本科学未来館に集まりました。

今回参加したのは、沖縄科学技術大学院大学、徳島県企業局 川口ダム自然エネルギーミュージアム、日本科学未来館、バンドー神戸青少年科学館の4館です。 参加した子どもたちは、それぞれの地域ならではのフィールドワーク体験も経て大きく成長しました。 日本科学未来館では、川崎市にある磯子火力発電所、かわさきエコ暮らし未来館(浮島太陽光発電所)の2箇所を見学。 川口ダム自然エネルギーミュージアムでは、全国有数の日照時間である徳島の立地を活かしたメガソーラー(マリンピア沖洲太陽光発電所)や川口ダムの見学。 バンドー神戸青少年科学館は、都市のど真ん中にある下水処理場(東灘処理場)と神戸製鋼発電所を見学。 沖縄科学技術大学院大学(OIST)は、OISTに所属する世界トップレベルの研究者から果物や微生物を使った発電方法についてのレクチャーや波力発電や海洋温度差発電など、ユニークな発電を体験。 発表前の子どもたち。ドキドキしている様子がうかがえます。 発表前に台本をチェック。赤字がたくさん書きこまれていました。 今回子どもたちの発表を受け止めた、経済産業省資源エネルギー庁 再生可能エネルギー推進室 室長の嶋村英治(しまむら えいじ)さん。発表前の子どもたちに、応援メッセージを贈ります。 一般社団法人Think the Earthの上田壮一さんからグリーンパワースクールについて、日本科学未来館の西岡真由美さんからはグリーンパワーキッズクラブの活動について説明がありました。 真剣な表情で大人たちの話を聞く子どもたち。

そしていよいよ子どもたちの開会宣言です。 「ぼくたちは去年の秋から今日まで、エネルギーについての連続ワークショップに取り組んできました。エネルギーの基本を学ぶことからはじめ、それぞれの地域の発電所や研究施設を見学し、最後には未来のエネルギー戦略を自分たちで考えました。ぼくたちはどんな未来をつくりたいのか、その未来を作るために、今何をするべきか、真剣に考えてきました。これからの発表会は、その集大成です。わたしたちの考えた戦略がこらからの社会に活かされることを期待すると同時に、未来にむけて自分たちにもできることを考え続けていきたいと思います。それではこれから発表会をはじめます!」 各地域から選ばれた代表者4名が大きな声で開会宣言。 発表のトップバッターは、沖縄科学技術大学院大学(OIST)が率いる沖縄チーム。沖縄チームはなんと自分たちでエネルギーを自給自足する島「うちなーOIST島」を作る、というコンセプトで、それぞれが注目した発電方法を考えました。普段自分たちが使っている車や自転車、携帯電話など身近なものに注目した発電アイデアを3E+Sにつなげて、発表してくれました。 沖縄チームはOISTのテーマカラーである赤色のTシャツで揃えて登場! 「沖縄のワークショップでは、微生物発電や温度差発電など、ユニークな発電方法をOISTや久米島の研究者からから学びました」と話すのは、沖縄科学技術大学院大学の池田ありささん。 かばんに入れたスマホが振動することで発電する「スマホてくてく発電」を発表。 沖縄のキレイな湧き水を活かす湧き水発電。行政、企業、市民、それぞれ役割を整理して発表しました。

2番目の発表は東京チーム、日本科学未来館のみなさんです。いつもは元気いっぱいはしゃぎまわる子どもたちですが、この日は堂々とプレゼンテーションする姿にビックリ! マグロの止まらない習性を活かした養殖マグロ発電やエネルギーのブランド化や地産地消のアイデアなど、大人には考えつかないようなユニークな発表をしてくれました。 これまでのワークショップで学んだことや体験を振り返る日本科学未来館の科学コミュニケーター、金城文乃さん。 エネルギーの地産地消をテーマにルールや教育についてアイデアを発表。 東京チームの紅一点!宇宙発電という大胆なアイデアを発表。未来のエネルギーは宇宙からやってくるかもしれません。 真剣に発表を聞く子どもたち。発表で気づいたことやすごい、と思ったことはフィードバックペーパーに書いて、共有できる仕組み作りをしました。

続いて3番目の発表は徳島チームです。川口ダム自然エネルギーミュージアムの後藤利貴さんは、自然豊かな徳島では、再生可能エネルギーの存在がすごく身近にあると言います。子どもたちがどんな未来になってほしいのか、そのためにどんなエネルギーが必要なのか、ということを意識して発表してくれました。 川口ダム自然エネルギーミュージアムの後藤さんから、各チームメンバーを紹介。メガネチーム、右利きチーム、習字チームの3チームでグループワークを進めました。 「子どもも大人もみんなで笑顔になる未来にしたい」という未来像と熱い想いを語ってくれました。 不要なものをエネルギーに変えて、無駄のない環境にいい社会を目指して、給食などの残飯を使ったバイオマスエネルギーの活用を提案。

そして、いよいよ最後の発表、兵庫チームの登場です。兵庫チームは個人ではなくチーム発表でした。発表内容は4人でひとつの戦略を発表するので、より詳細なストーリーを伝えることに成功していました。発表もチームワークの良さを感じるプレゼンテーションになっていました。 バンドー神戸青少年科学館の高見裕一さん。神戸チームは、神戸バイオガスの見学や水素自動車など、都市の生活と密接に結びついたエネルギーのあり方を体験し、エネルギー戦略を考えました。 現在の問題点と目指す未来を考え、地域でエネルギーシェアをしたり、必要な資金はクラウドファンディングを利用して調達する、など具体的なプランを提案。 エネルギーガールズチームは、サカナのエラ呼吸の仕組みを応用し、海水の塩と蒸気を使った水力発電のアイデア「ニューSUNスタイル」を提案。ワークショップでの学びをヒントにこのアイデアを考えました。 発表に合わせて、手持ちでイラストを順番に見せるプレゼンテーションはとても分かりやすく、チームメンバーの連携が素晴らしい! すべての発表にコメントを返していた嶋村室長。一人ひとりの名前を読んで、よかったポイントを伝えました。

すべての発表が終わったところで、晴れてグリーンパワーキッズに認定です。表彰状とグリーンパワーキッズ認定証を受け取った後、全員で記念撮影。みんな笑顔が輝いていました。 嶋村室長から一人ずつ、表彰状を授与。 全国から集まったグリーンキッズクラブたち。素敵な笑顔を見せてくれました。

こうして幕を閉じたグリーンパワーキッズクラブ2016。教えてもらったことを暗記するのではなく、学び、感じ、体験したことから、どんな未来になってほしいのか、そのためにはどんなエネルギーの使い方・増やし方があったらいいか一人ひとりが考えました。未来のエネルギーのあり方に正解はありません。しかし、未来のエネルギーの担い手は間違いなく子どもたちです。これからもグリーンパワーキッズとして、エネルギーについて興味・関心を持ち続けて、将来活躍してくれることを期待しています。 (執筆:笹尾実和子) (写真:舛元清香)